最近よく、ミレニアム世代やZ世代という言葉をよく耳にします。人の価値観や行動傾向は、その人が育ってきた環境や時代背景の影響が少なからずあると言われています。前回の記事でお話ししたハラスメント問題もそうですが、それぞれの世代の環境や考えの違いで生まれているものもあるのではないでしょうか。一緒に働く仲間として相手を知り、自分とは違う世代を知ることで、コミュニケーションも円滑になり、ハラスメントのような問題もなくなっていくのではと感じています。
そこで今回は世代別の特徴や、価値観の違いをテーマにお話していきたいと思います。
世代の特徴
X世代:現代社会の中心。デジタルイミグラント。
コミュニケーションメディアは電子メール/SMS。代表的な製品デバイスはパソコン。
X世代は、1965年~1980年に生まれた層を指しちょうど管理職の方たちの世代です。大学進学率が上がり、受験戦争が厳しい時代を経験し、大学卒業後はバブル経済が崩壊し、就職氷河期が訪れ、冷戦を経験してきた世代です。情報源はテレビや雑誌でした。若い頃は携帯電話などなく、財力がつきだした頃にそれらのテクノロジーが普及したためデジタルイミグラントと呼ばれることもあります。
Y世代:現代社会で活躍し始めた若者。デジタルパイオニア。
コミュニケーションメディアはSMS/SNS。代表的な製品デバイスはスマートフォン/タブレット。
「Y世代」とは、1980年~1995年生まれの層を指します。よく聞くゆとり世代もあてはまり、思考力を鍛えるためにプロセス重視する傾向があります。10代頃からインターネット環境が整い始め、身近にあったため、デジタルネイティブと呼ばれます。Z世代と比較して、デジタルパイオニアと呼ばれることもあります。SNSを通じ、多くの見ず知らずの人とも関わり始めたこともあり、多様性を認める人の多い世代です。
Z世代:これから活躍する世代。デジタルネイティブ。
コミュニケーションメディアはSMS/SNS。代表的な製品デバイスはAR/VR/3Dプリンタ/ウェアラブル端末。
「Z世代」とは、1995年~2005年頃に生まれた層を指します。生まれたときからインターネットが身近にありました。操作にも慣れていて、SNSによる交流に最も抵抗のない世代でしょう。リスク回避傾向で、安定・安全志向。何かを購入する際は、レビューやSNSの口コミ・評価を見る傾向があります。情報量の多さゆえに、流動的な層でもあります。
現在の経済を支えている18歳以上の労働者層は、上記のように大きく3つの世代に分類されると言われています。年齢はもちろん、コミュニケーションメディアや育ってきた中で身近にあった製品による違いも見て取れます。もちろん1人ひとりの個性による違いもありますが、こうした環境面の違いが、行動特性や仕事への価値観に影響を与えていると考えられます。
世代間ギャップ、価値観の違い
キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関Job総研は、20〜50代の各世代498人の社会人男女を対象に「2022年 世代間ギャップ調査」を実施しており、全体の73.7%が「仕事上で世代間ギャップを感じる」と回答し、最も多いのは「仕事に関する考え方」であることが分かりました。もっとも世代間ギャップを感じてるのはバブル世代で全体の47.0%で、次いで「Z世代」が26.9%となっています。ギャップを感じることで最も多いのは「仕事に関する考え方」(95.9%)。次いで「一般常識」(24.1%)、「コミュニケーションの取り方」(22.5%)がTOP3となっています。
このように他の世代の人と仕事をしていて「何を考えているのかわからない」と思うことがあるかもしれません。同じ目標に向かって仕事をする過程で、上司や部下・後輩とのコミュニケーションにジェネレーションギャップを感じたとき、下記のような行動や考え方を意識すると、より良い仕事につながっていくと考えます。
1対1のコミュニケーションを大事にする
個性や自分らしさを大切にしたい多様性がある若い世代は、非論理的な指示等は好ましくないと考えます。個々が主体的に取り組めるよう、「なぜその業務を急ぐのか」「なぜその仕事を任せたいのか」などを具体的に伝えることが大切です。定期的な個別面談なども1対1のコミュニケーションとなり、互いの考えをすり合わせ、同じベクトルを向く良い機会となるのではないでしょうか。
共通言語を持つ
価値観が多様な環境におけるコミュニケーションで重要になるのが、共通言語だと思います。価値観の尺度が異なり、感覚で捉える曖昧な言葉は認識のずれが生まれやすくなります。共通の目標や目的の設定やなどによって互いに意思が通じ合う言葉を持てれば、より円滑なコミュニケーションが可能になると考えます。
フラットな視点で物事を考える
現代では、かつてのような一社終身雇用は当たり前ではなく、転職や独立などの選択肢が複数あるほうが当たり前だと思います。そのため、価値観を認めてもらえないこと等に対して、退職という選択を取ることも想定できるため、部下や後輩でも「対等な関係性」と捉えて接するほうが円滑なやり取りにつながっていくと考えます。先輩・後輩に限らず、礼儀を持ってフラットな視点で、人間関係を構築していくことが大切なことではないでしょうか。
プライベートを尊重する
Z世代やY世代などの若い世代は、特にプライバシーの意識が強いため、仕事とプライベートを明確に分けたいと考えている人も多くいます。特に連絡手段の使い分けについては注意が必要です。InstagramなどのDMなどを使うと、相手のプライベートを侵害してしまう恐れがありますので、相手と合意をとったうえで連絡を取ったほうがよいでしょう。SNSなどでプライベートを探るようなことをしたり、飲み会への参加を強要したりすると反感を買いかねません。どの世代の方でもプライベートを尊重しつつ、日頃から円滑なやり取りができるように、コミュニケーションを意識することが大切です。
繰り返しになりますが、世代によって育ってきた社会環境は大きく異なるため、行動特性や仕事への価値観が違うのは当たり前です。上記のようなことに気を付けコミュニケーションをとることでギャップは軽減しますが、「違いを尊重しよう」「相手のことを理解しよう」と全て完璧に行うことは、なかなか難しいことだ思います。
それでも、なぜ、あの人はそう考えるのか、なぜ、自分はこれが正しいと考えているのかを考えると、意見をぶつけ合うよりもこころの余裕が生まれると思います。また、お互いの本来の目的や共通の目的を見つけると、意見や価値観の対立を乗り越え、よりよくするためにはどうすればいいかと、考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
相手や自分が「そう考える背景」に思いをはせること。対立している「本来の目的」「共通の目的」を考えることが世代間ギャップを縮め、よりよい職場を作っていくポイントだと考えます。
弊社では社内はもちろん、介護アカデミーでも様々な年齢の方と接します。世代の違いをよく理解し、相手の立場になり物事を考え、より良いコミュニケーションをとれるよう努力をしてまいります。