先日Wematchの拠点でもある福岡市の今年度の予算案が発表されました。新型コロナウイルス感染症の⻑期化により、市⺠⽣活に様々な影響が広がる中、誰もが安心してぬくもりを感じて暮らすことができるまちづくりと、天神ビッグバン等により都市機能のアップデートが進む中、経済的な価値にとどまらない多様な魅⼒が輝くよう、まちに「彩り」を加えるための取組みを推し進めるということでした。
高島市長が発表した予算概要の中で、福岡市が障がいのある方が暮らしやすい町づくりにも力を入れていることに焦点を置き、良い機会だと思いスタッフと障がい者雇用について少し話をしてみました。そこで見えてきた現状と課題等を今回はお伝えしたいと思います。
障がい者雇用の現状
2021年12月、令和3年の障がい者雇用状況の調査結果が公表されました。法定雇用率が民間企業2.3%、公的機関2.6%(教育委員会2.5%)となってから初めての調査結果です。2021年の民間企業全体における雇用障がい者数と実雇用率は、過去最高を更新する59万7,786人でした。しかし民間企業の法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられた為、全体としての法定雇用率達成には至りませんでした。
障がい種別での雇用障がい者数を見ると、最も多いのが身体障がい者が35万9,067.5人、次に多いのが知的障がい者の14万665人、そして精神障害者は9万8,053.5人となっています。精神障がい者についてはコロナ禍の影響もあり年々増加傾向となっています。令和3年の雇用率は昨年よりも上がり企業の障がい者雇用は進められている一方、まだまだ課題の残る結果となったと感じました。
障がい者雇用の課題
前項でも述べたように、障がい者の実雇用率は年々伸びているものの、中小企業での雇用は伸び悩んでいる現状があります。その原因として、障害者雇用に関する適切なノウハウがない、障害者雇用への社内理解が低い、短期離職のリスクを回避できない等、課題が多いことが考えられます。
障がい者雇用は「障害者雇用促進法」に定められた法的な義務だけでなく、企業の社会的責任でもあるため、一緒に働くことの理解を深め、会社全体が障がい者への配慮の仕方や特性について正しい知識をもつことが大切です。まずは理解を深めるというところで、共に働くことで企業が得る下記のような多くのメリットがあることを伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。
業務内容の見直しが進む
障害者を雇用することで業務のどのフローがつまずきやすいのかを可視化する効果があり、今まであたりまえだった業務を見直す良い機会となります。結果として全体の効率化ができ、生産性を上げることにつながると考えられます。
社内コミュニケーションが広がる
上項の業務見直しに伴い、業務改善課題をどのように解決していくか部署ごとではなく、会社全体で考えていかなくてはいけません。そのため社内では今まで以上に活発に意見交換の場が生まれ、部署を超えた連携ができ、会社全体のコミュニケーションが活性化されていくのではと思います。
多様性のある企業文化・組織作りができる
昨今は、決まった形に当てはめるのではなく、個々ひとりひとりの能力を活かすような、ダイバーシティの考え方が世界的に推進されています。障がいのある方が組織に加わることで、障がいの有無に関わらず「個人の違い」を理解し認め合う風土が作りだされ、多様性のある組織に成長していくことが期待できると考えます。
金銭面での支援
障害者雇用促進には調整金や報奨金、助成金の支給などさまざまな金銭面での支援があります。助成金については雇用にあたっての助成金だけでなく、安定的な雇用を目指した活動や障がい者自身のスキルアップのための活動に対して支払われる助成金もあります。
今回障がい者雇用について意見を交換し現状や課題等様々なことが見え、そこには多くのメリット点が隠れていたことに気づけました。障がい者雇用と聞くとネガティブな印象を持たれる方も多いと思います。私もその一人でした。まずはそのイメージを変えることが大切な一歩だと感じました。
前回のブログでも問題点となった少子高齢化が日本では急速に進んでいます。そのため労働力の確保が難しいのが現状ですが、障がい者雇用を推進していくことで、企業の労働力確保につながっていくのではないのでしょうか。また障がい者ご本人が能力を最大限に発揮し社会で活躍する機会を与えることができ、企業側は環境整備や業務の見直し、従業員のコミュニケーション促進といったメリットも多くあり、双方にとって有益なものになると考えます。
そして、高島市長が今年度予算の特色として掲げている「ぬくもり」を感じられるまちづくり。障がい者はもちろん、子供に対してや、介護・教育など様々なことに力を入れている福岡市は、ダイバーシティ促進に繋がっていくと確信しています。
弊社も市長が目指すまちづくりに積極的に取り組み、貢献できるよう努めてまいりたいと思います。