2月も終わりに差し掛かりましたが、対象者の方は確定申告はお済でしょうか?
確定申告は手間や時間がかかるイメージですが、税務署に行かずともe-taxや郵送でも申告ができ、納税もクレジットカード支払いはもちろん、QRコード決済ができたので自宅で手軽に確定申告ができるようになっています。
前回は、基本的な部分をお話しましたが、今回は申告の種類や申告の流れ等についてをテーマに掲げて進めていきたいと思います。
確定申告の種類
確定申告とは、一言で言うと「税金を納めるための手続き」のことで、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、それに対する所得税を計算し、精算する手続きのことを指し、申告の種類は青色申告と白色申告がの2種類あります。
両者の違いを簡単に表すと「手続きは煩雑だが節税効果は高い」のが青色申告、「手続きは容易だが節税効果が低い」のが白色申告です。下記表に条件とメリットデメリットを簡単にまとめてみました。
青色申告 | 白色申告 | |
条件 | 税務署への開業届が必要 青色申告の事前申請が必要 帳簿付けは複式簿記 | 必要なし 必要なし 単式簿記 |
---|---|---|
メリット デメリット 比較 | 最大で65万円の特別控除が受けられる 赤字を3年間繰り越すことができる 家族への給与を妥当な範囲内で全額経費にできる 減価償却資産や家賃、光熱費などを経費計上できる 事前申請や複式簿記など手続きが煩雑 | 控除を受けられない 繰り越すことができない 上限がある 上限がある 手続きが容易 |
青色申告は事業所得や不動産所得、山林所得があり、税務署に開業届及び青色申告承認申請書を提出した事業主が利用できる申告方法で、その手続きを行わない場合は、自動的に白色申告となります。
青色申告を利用するには上記の申告のほかにも、複式簿記による帳簿や青色申告決算書の作成、関連書類の最長7年保存などが求められ、作成・保存しなくてはならない帳簿類が多い反面、青色申告にはさまざまな節税メリットがあります。
一方白色申告は青色申告と異なり、開業届や青色申告承認申請書の提出が不要で、複式簿記での帳簿作成や複雑な手続きも不要となるため、会計の知識が少ない人や初心者でも比較的簡単に確定申告ができるというメリットがあります。ですが受けられる控除は基礎控除のみのため、控除額は青色申告に比べると少なく、節税のメリットは特にありません。
青色申告、白色申告それぞれメリット等あるため、事業規模や目的に応じて申告方法を選択をすることをお勧めします。
申告の流れ
では、実際に確定申告をするにはどのようにすれば良いのでしょうか?ここでは実際の手順や準備する必要がある書類等とご説明をしていきたいと思います。
1.必要な書類の準備
①確定申告書
毎年申告をしている方は、その年度の11月~1月頃に税務署から申告書が郵送されてきますが、直接税務署で入手したり国税庁のホームページからダウンロードすることも出来ます。申告書はA様式とB様式があり、所得の種類によって使用する書式が決まりますが、令和4年分の申告書からB様式に統一されています。
青色申告を行う場合
帳簿の内容を決算書の形で記入した青色申告決算書を作成する必要があります。一般用様式や不動産所得用様式などの種類がありますが、それぞれの事業実態に合わせたものを使用します。
1ページ目:損益計算書
「売上」「原価」「経費」「各種引当金・準備金」「青色申告特別控除」の5項目に分かれているもので項目ごとに1年間の合計金額を記載します。
2ページ目:損益計算書の内訳①
下記5項目に分かれています。
「月別売上金額および仕入金額」
月ごとの売上と仕入の金額を記載します。売上については本業での売上に加え本業以外の収入である雑収入も計算します。
「給料賃金の内訳」従業員の氏名や給与額などを記載します。
「専従者給与の内訳」家族への給与が発生した場合に記載します。
「貸倒引当金繰入額の計算」売掛金や貸付金の内、回収が不可能だと想定される金額の見積額を記載します。
「青色申告特別控除額の計算」1ページ目の青色申告特別控除枠と同じ数字を記載します。
3ページ目:損益計算書の内訳②
事業上でかかった減価償却費などについて記載します。
「減価償却費の計算」事業で使用している資産の取得額を一括ではなく、決められた耐用年数に応じて段階的に経費計上します。
「利子割引料の内訳」金融機関からの借入の際に発生する支払利息や手形割引利息の割引料の金額を記載します。
「税理士・弁護士の報酬、料金の内訳」帳簿付けの依頼や法律相談などでかかった費用を記載します。
「地代や家賃の内訳」店舗や事務所を借りている場合の賃料や駐車場代などを記載します。自宅で事業を行っている場合は生活と事業のかかる割合に応じて家事按分を行うことができます。
「特殊事情」売上や経費が前年と比較して大きく変動があった際には簡単に理由を記載します。
4ページ目:貸借対照表
バランスシート(B/S)と言われるもので、1年分の結果報告が損益計算書なのに対し、期末時点での事業の財政状態を表したものが貸借対照表です。「資産の部」「負債・資本の部」「製造原価の計算」の3つに分かれており、最終的に資産の部と負債・資本の部の合計金額が一致する形です。
白色申告を行う場合
「収支内訳書」という書類を作成する必要があり、勘定科目ごとにその年度の集計を出します。「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」の3種類があり所得に合わせたものを使用します。
②本人確認書類
マイナンバーの記載及び本人確認書類の提示もしくは写しの添付が必要で、番号確認書類・身元確認書類で構成されているので、マイナンバーカードと運転免許証があれば全てを網羅できます。運転免許証以外には、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障碍者手帳なども本人確認書類として使用することができます。
③所得書類
給与所得や公的年金収入がある人は源泉徴収票が必要になり、それ以外にも収入がある場合はその収入金額や必要経費がわかる書類を求められることがあります。
所得種別 | 必要書類 |
---|---|
不動産所得・事業所得 | 確定申告書 |
不動産の譲渡 | ・売買契約書 ・仲介手数料などの領収書 |
給与や年金など | 源泉徴収票 |
配当などの一時的な所得 | 該当する所得の内容を証明するもの |
株取引 | 年間取引計算書 |
④控除書類
代表的な書類は保険会社から送られてくる生命保険料の支払い控除証明書で、その他には以下のような書類があります。
控除の種類 | 書類 | 内容 |
---|---|---|
社会保険料 | ・控除証明書 ・源泉徴収票 | 国民年金保険料や社会保険料の支払額に応じて控除を受けることができる |
生命保険料 | ・控除証明書 | 生命保険料の支払額に応じて控除を受けることができる |
医療費 | ・医療費控除の明細書 ・医療費通知書 | 年間の医療費が一定額を超える場合に控除を受けることができる |
住宅ローン | ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・借入金の年末残高証明書 | 住宅ローンの支払額に応じて控除を受けることができる |
地震保険料 | ・地震保険料控除証明書 | 地震保険料の支払額に応じて控除を受けることができる |
寄付金 | ・自治体から発行される受領書 ・ふるさと納税の特定寄付金証明書 | 公共団体などに寄付(納税)をした場合に受けることができる |
2.税務署に提出をする
確定申告に必要な書類が揃ったら税務署に提出をします。提出期限は通常であれば3月15日ですのでそれまでに提出をする必要があります。
税務署に直接提出する
納税地を管轄する税務署に持ち込むことができます。期限直前だと混みあっている場合が多いので、持ち込む場合は少し早めに提出することをお勧めします。尚、夜間や休日などは時間外収受箱というものが設置されているのでそこに投函することで提出が可能です。
郵送する
郵送提出も認められていますが、送付方法には注意が必要です。確定申告書は信書にあたるため宅配便やゆうパック、ゆうメール、クリックポストなどは利用ができず、普通郵便もしくはレターパックで郵送する必要があります。
e-Taxで提出する
e-Taxとは国税庁のシステムのことです。確定申告書やその他の添付書類のデータをインターネットで提出することができ、非常に便利な方法ですが、利用にはマイナンバーカードとマイナンバーカードを読み取れる機器類(一部のスマートフォンやICカードリーダライター)が必要となります。時間と手間が一番かからない方法のためおすすめです。
前回は、確定申告とはどんなものなかという基本的な部分で、今回は実際に確定申告を行う際の申告の流れについてご説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
個人事業主やフリーランスには身近な確定申告ですが、「働き方改革実行計画」により副業や兼業が推奨されており、またコロナ禍でより副業等始めた方が多いのではないでしょうか。そのため、会社員やアルバイトの人でも確定申告をしなくてはいけないといったケースが増えてきているように感じます。実際に私も今年対象者になり、先日e-taxで確定申告を行い、納税をしたところです。
また、初めての確定申告となると書類の準備や申告書の作成に手間取りスムーズに進められないこともあります。事前に国税庁の確定申告特集ページ等を確認し、早めに準備をし確定申告を進めるようにしましょう。
株式会社Wematchはキャリアをデザインする会社です。
キャリアをデザインするために重要な転職支援、就職支援、就職面接のアドバイス、面接同行、病院(介護施設)とのやり取り、転職後のアフターフォローにも力をいれています。
弊社は世の中に多い会社と人材のミスマッチを解消し、会社と人材がベストマッチした社会の実現を目指しておりますので、
人材にお困りの方やお悩みがある方などは、ぜひ一度Wematchへお問い合わせください。