先月末より弊社近くの舞鶴公園にて、インクルーシブな遊具広場づくりが期間限定で開催されています。わが町福岡市では「インクルーシブふくおか」を掲げ、すべての人が暮らしやすい街づくりを目指しています。今回はこのインクルーシブをテーマにお話していきたいと思います。
インクルーシブの意味とインクルーシブ社会について
インクルーシブという意味は、英語で「エクスクルージョン(exclusion)」=「排除」の反対語が「インクルージョン(inclusion)」。つまり、「排除しない」ということになります。社会を構成する人々は多様性に富んでおり、性別・国籍・宗教の違いや障害の有無にかかわらず、互いを認め合い、排除せずに共生する社会をインクルーシブ社会と呼びます。
上記図で説明すると、
①左上:排除。社会から障がいのある人達が仲間はずれにされています。
②右上:分離。障がいのある人達が集まっていますが、健常者集団(=一般社会)とは分離されています。
③左下:統合。社会全体の中には入っていますがその中で障がいのある人達だけが小さなグループとして分離されています。
④右下:インクルージョン(包含)。障がいのある人もない人もみんないっしょに生活しています。
日本の学校はどうなっているかと言うと、特別支援学校 →分離(右上)、特別支援学級 →統合(左下)の形態です。インクルーシブ社会というのは、右下の図、「みんないっしょに」という状態です。
多様化への理解が進む昨今、インクルーシブ社会の実現には多くの人が注目しています。マイノリティーとされる属性を持つ人をはじめ、まさに多様性の集合体とも言える教育現場で働く人からの視線はとくに多いと考えられます。もともとは、心身に障害を持つ人や、身体的能力が衰えた高齢者でも不自由なく暮らせる「バリアフリー社会」を構築しようという考えがありましたが、インクルーシブ社会はバリアフリー社会を必要とする人々はもちろん、さらにマイノリティーな存在に目を向け多様性として包括し、互いに認め合うべきであるという考えへと発展したものだと考えられます。
インクルーシブ社会へ向けた取り組み
日本でもインクルーシブ社会の実現に向けた行動が持続的に行われていますが、完全な実現にはまだ課題がある状況だと言えます。ここでは具体的な課題と取り組みを紹介します。
心身に障害を持つ人の市場参加
コロナ禍で心身に障害を持つ人は増加傾向ですが、こちらのサポートもいまだ十分とは言いがたいと言えます。まずは、彼らをしっかりサポートし、生産性を高めることが重要ではないでしょうか。ただし、生産性の高い人だけが価値のある人なのではなく、一人ひとりが違うことに価値があることを伝え、彼らの市場参加を促すことが最も重要となります。
インクルーシブ教育における合理的配慮
平等を意識するあまり、生徒は同じ場所で学びさえすればいいと考えるのでは双方に負担がかかるため、授業の単元や教材は共有をし、多様化に合わせた修得を目指す個人の能力に応じた教育が可能になりつつあります。※「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年2月号より
障がいのある人たちが、一般の方同様ごく当たり前の生活を送るためには、たくさんの困難があります。だから、まわりの方々の助けが必要で、他の人よりもたくさんのサポートが必要です。それを特別扱いしてもらっていると考えるのではなく、当たり前に社会へ出て過ごせるように、当たり前の学校生活を同じように過ごすために、必要な配慮だという事を、まずは理解をすることが大切ではないでしょうか。その想いがまたインクルーシブ社会へ進める一歩だと強く感じました。
福岡市では冒頭紹介した舞鶴公園のように、インクルーシブ社会への取り組みが少しずつ進んでいます。また、「ぬくもり」を感じられるまちづくりを2022年度予算のテーマに掲げ、障がい者の方はもちろん、子供に対してや、介護・教育など様々なことに力を入れています。弊社も高島市長が目指すまちづくりに積極的に取り組み、インクルーシブ社会促進に貢献できるよう努めてまいりたいと思います。